自社技術を活用した産業用レゾルバ(回転角センサー)をゼロから開発せよ。
自社技術を活用した産業用レゾルバ(回転角センサー)をゼロから開発せよ。
outlineプロジェクト概要
10数年前、たった2名からスタートしたレゾルバ開発。
【山河】
実はレゾルバ自体の開発は10数年前に始まっており、当初は田川さんも足立さんもいないたった2名からのスタートでした。当社の既存技術である「ばね」や「プレス品」「インシュレータ」と、発展技術である「センサ部品」の技術を融合することで何ができるのか?そんな発想が開発のきっかけでしたが、当初はこのようなプロジェクトチームに発展するイメージはまだなかったですね。次第に開発課の人員も増えてきて、今回のプロジェクトにあたる「産業用レゾルバの開発」は5年ほど前から取り組んでいます。
【田川】
プロジェクトには、開発、営業、試作からメンバーが集まりプロジェクトチームが編成されました。私が担当する試作は山河さん足立さんが所属する課が設計したものを組付けして完成品にするのが仕事。私は過去に新規製品を量産する際の立ち上げに加わっていた経験があったので、これは自分の力を活かす場であるとモチベーション高く取り組めました。本当のことを言うとチームに入った当初は「レゾルバ」のことをまったく知らない状態からのスタートだったんですけどね(笑)。
【足立】
レゾルバはわかりやすく言えばモーターの「回転角センサ」のこと。例えばHV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)の心臓部になるモーターの回転を制御するためにも不可欠な技術です。自動車だけでなくロボットなどさまざまな業界で今後重要となってくる技術と言われており、私は前職でも産業用レゾルバを専門にしていました。
【山河】
田川さんには我々開発が気づかない視点、「現場目線」からのアドバイスをたくさんいただきました。これは量産化に向けて絶対に必要な視点なんです。
開発課と試作課で、一丸となって課題と向き合う。
【山河】
新しいチャレンジとなった産業用レゾルバの開発ですが、実際に製品としてお客さまに採用いただくには、ひとつの完成された製品として「小型化」「軽量化」「低コスト」「耐環境性」をクリアしなければなりません。しかしながら、産業用製品の開発スパンは構想・検討から量産までで1~2年ととても短いスパン。そのためにはチーム全体が目標を共有し、一丸になることが必要でした。
【田川】
山河さんのおっしゃる通りで、それぞれの専門家が一丸となったからこそ実現したプロジェクトでしたね。試作課では私の他に2名がプロジェクトに参加しましたが、組付け、半田付け、精度試験、標準類の整備など工程ごとの専任ではなくオールマイティーに対応できるメンバーで固めました。問題発生後はメンバーで要因解析を行い、解決しない問題は開発課と密に情報共有して課題解決に取り組めたのが良かったです。
【足立】
その中で私の役割は、開発課と試作課の橋渡しがスムーズにいくようにする“生産技術開発担当”でした。新しい分野で新しく設計された試作品は、いきなり組立てようとしても勘所がわからなかったり、設備上の課題が出たりして上手くいかないケースが多々あります。そこの課題を解消できるように努力しました。
【山河】
足立さんがチームに入って最初に取り組まれたのも、産業用レゾルバの「高精度での測定時間短縮」でしたね。
【足立】
はい。それまでは人手に頼っていて大変時間がかかっていた精度測定を自動化したんです。今回のプロジェクトのように限られた開発スパンの中では、試作した製品の検出精度を早く測れることが何よりも重要と考えました。
【山河】
足立さんには長年の経験からプロジェクトの状態を客観的に見ていただき、本当に助かりました。あそこからプロジェクトの進捗も格段にスピードアップしましたね。
プロジェクトは道半ば、さらなる進化に向けて全力を注ぐ。
【山河】
スタートから約5年。多くの苦労を重ねた分、センサとして利用できるレベルの理想的な波形を取り出せた時の感動は鳥肌ものでしたね。また、産業用レゾルバの初号機が正式に販売となった時には皆でガッツポーズをしました。おかげ様でお客様からの評判も上々で、とりわけ当社が自動車部品メーカーとして培った品質管理体制においては高い評価をいただいています。自動車業界は今、100年に一度とも言われる大変革の時代。この技術が当社の技術発展にも大きく貢献できると考えるとワクワクしてきますね!
【足立】
プロジェクトはまだ道半ば。新しいマイクロレゾルバの開発も控えており、情報収集や事前調査も進めはじめています。ありがたいことにお客さまからの期待度も大きいですので、もっとご期待に沿えるレゾルバを開発できるよう頑張っていきたいです。私は自由にのびのび仕事ができる松尾製作所で、これまで培ってきた知識と技術を社会に還元できるような仕事をしていきたいです。
【田川】
私たちの仕事で一番面白いのは「経験がないところでのモノづくり」。現状、お客さまからの評判が良いと聞いていますが、私はこれに甘んじることなく現場の改善をさらに進めていくつもりです。今後難易度の高いプロジェクトが次々控えていると聞いていますので、今回の経験を活かして量産前の立ち上げに全力を尽くしていきたいと思います!